菓子氏によると、「団地は記憶のかたまり」らしい。

確かに我々大人の世代なら、自分が住んでいなくても、クラスの誰かが住んでいた。
誰かの家に遊びに行ったことがある、そんな子どもの頃の記憶が呼び起こされるのだろうか。

記憶の琴線に触れる、団地。

こんなにも心を揺さぶられるものなのだ、とページをめくりながら思った。

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団地は、記憶のかたまり。

コンクリートに刻まれた時間、誰かの暮らしの痕跡。

規則正しく並んだベランダ。

人々が行き交う階段の踊り場。

子供たちの声が響く団地内の公園。

暮らしたことなどないのに、懐かしさが込み上げてくる。

あの頃から、あの頃のような四角い建物に不思議と惹かれていた。

時を重ね、間もなくその役目を終えようとしている近所の団地。

かつての記憶のかたまりは、容赦なく姿を変えていく。

変わっていく景色の中で、自分だけが取り残されるような気がした。

A5サイズ 64ページ 1,800円