写真企画室ホトリで2020年10月に開催のsaorinの個展「a fine line」に合わせて制作した写真集。
10年ほど前に一度私家版写真集としてまとめたテーマを改めて再編集し、写真展を開催した。(~2020/10/25まで開催中)
厚紙を貼りつけ、背の部分には銀の箔押しでタイトルをあしらっており、クールかつスタイリッシュな装丁に仕上げている。
過去に制作したバージョンの装丁はハードカバータイプで、表紙に採用された写真も今回制作した版とは異なる。
作品紹介の代わりに、saorin写真展「a fine line」のステートメント文を一部抜粋して掲載する。
a fine line(=紙一重)は10年ほど前に一度、私家版写真集としてまとめたテーマだ。
その頃、私がカメラを向けてついシャッターを切ってしまう被写体は、
自分でもなぜこんなものに惹かれるのかわからないものばかりだった。
見方を変えればおもしろいとも言えるが、一般的にはやや気持ち悪いとされるもの、
おそらく不快に思われるであろうものも少なからずあった。
それでも、私が撮ったそれらは、自分の中では実は美しいのかもしれない、
そもそも美しさと汚さは同じようなものなのかもしれない。そう思っていた。
—- 一部省略 —-
この世界はなんと理不尽で不条理なのだろう。
そして同時に、なんと不可解で美しいのだろう。
何か目に見えない力が、矛盾をはらむ要素をあえてこの世に放っているようだ。
私はこの世の、不条理な醜さと同時に、そこはかとない美しさをとらえたくて、
写真を撮っているのかもしれない。
これから私は一体何年生きるのか。
もしかしたら1年後命を落とすかもしれないし、10年かもしれないし、
人生100年時代を文字通り全うするかもしれない。
その時まで写真を撮り続けるかどうかはわからないが、
少なくとも、美しいものも汚いものも、すばらしいものもみにくいものも全て、
抱き合わせながら生きていくのだろうと思う。
A5縦型 72ページ 2,200円