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今を生きる我々にとって、2020年は忘れられない年になるだろう。正体不明の未知のウィルスは、老若男女問わず、世界中の人々に、多かれ少なかれ影響を与えた。
最初ウィルスの名前がニュースで取り沙汰されはじめたときは、正直対岸の火事のような気持ちだったが、それは間もなく先が見えない不安に変わった。
緊急事態宣言が発令され、自宅待機を余儀なくされる日々。
正直、私自身どのように過ごしていたのか、あまり記憶がない。

そんな中でも、日は昇り、鳥は歌い、虫はうごめき、風はそよぐ。
ウィルスに翻弄される人類にかまわず、季節は巡るのだ。

毎日をどう過ごしていたのか、自分が何を見ているのか。
それを再認識するかのように、早苗氏は彼女の愛機でシャッターを切る。

日々を生きることを、練習しなおしているかのような一冊。


2020年5月
明日どうなるかもわからない未来の不可実さに不安と焦りが募っていた。

足元の地面が崩れていくかのような、地に足のつかない感覚に危うさを覚えて、自分の生きている日常を自分の目でしっかり見つめなければ、と思った。

今を見よう。
自分の見たものを信じよう。
そう考えていた。

私はこの日々を覚えておきたいと思う。
この時、見つめていたものを。
いつだって自分の日常を生き続けているということを。

étude(エチュード):練習曲、下絵、習作、即興劇

A4変型 21×21cm、48ページ 2,700円